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     - 目  次 -

1.セールススピードの向上

2.セールスマンの販売力が強化できるか

3.セールスマンのセールス能力は実は50%も発揮されていない

4.セールスのスピード

5.セールススピード向上の方法

6.セールスステップの鮮明化と改善活動

7.スケジューリング と リ・スケジューリング技術の修得

8.セールス生産性を向上させるプログラム

 

 

 

1.セールススピードの向上

これから、セールスマンの生産性向上について、ご説明させていただきたいと存じます。本稿のテーマはセールスですけれども、本稿で、ご説明することは、今のマーケットで、売上をあげるということです。

 

どうしてかと申しますと、過去の診断報告書を見てみると、結局、たった1つのことをやってきただけなんです。それは何かというと、商品の数を増やすということです。商品の数を増やしさえすれば、とくに、ヒット商品があれば、実は、いままでは成長できていました。

 

これに気づいたのは、昭和63年の中小企業白書をみたとき「消費者ニーズの高度化・多様化」という言葉がありました。この「消費者ニーズの高度化・多様化」という言葉は、新鮮なものがありました。

 

そこで、平成元年版の中小企業白書を買って読みました。そうすると、平成元年版の中小企業白書にも「消費者ニーズの高度化・多様化」という言葉が出ているのです。

 

これはおかしいと思い、昭和30年版から昭和59年版まで、中小企業白書を図書館で全部読んでみました。そうすると、毎年、「消費者ニーズの高度化・多様化」という言葉が書かれていました。

 

要するに、顧客ニーズは、数十年にわたって、高度化・多様化していたわけです。このように、毎年毎年、顧客ニーズが高度化・多様化するのならば、それに合わせて、新しい商品を開発するかあるいは仕入れることが出来れば、売上は上がるわけです。

 

そこで、大手コンサルタント会社が発表している診断報告書、あるいは、中小企業診断協会が発表している診断報告書を片っ端から読んでみました。すると、案の定、殆ど、全てが、商品の種類を増やすという結果になっていたのです。したがって、新しい商品を販売しさえすれば、どうにかなってきたわけです。

 

ところで、いま、ここで、考えていることは、同じマーケット(同じ市場と商品)で売上を伸ばすということです。もちろん、商品政策で売上が伸びれば、それでも結構なのですが、ここでは、同じマーケットで売上を伸ばすということを考えてみたいと思います。

 

バブルが崩壊して以降、ホワイトカラーの生産性向上が叫ばれましたが、その中でも、セールスマンの生産性向上に関心をお持ちになることが、今後は、重要になります。

 

セールスマンの生産性向上が本日のデーマです。生産性向上のポイントは、マネジメントスピードの向上にあります。

 

マネジメントスピードの向上が経営の最も重要な課題であることは、もはや、はっきりしております。たとえば、製造業におきましては、トヨタの看板方式とか、その変形である Jast in Time 生産方式といわれますように、 

 

・リードタイムを短縮する。そうすることが、納期を短くすることになるから、

    お客様に喜ばれるので、競争力が高まる。

・リードタイムを短くすることができれば、在庫が少なくなるから、在庫コストが下が  

 る。

・リードタイムを短くすることができれば、生産工程に、タイムリーに、原材料や中間

 製品を投入することができるから、人間が無駄な作業をしなくて済むから、人件費が

 下がる。

 

あらゆる観点からみて、すべての人たちが、生産工程を短縮して、よりスピーディに生産を行なうということに努力するならば、自然に、お客様の要望に合え、コストが下がり、そして、競争力が高まる。

 

これは、もう、実証され尽くしてきたわけです。ところが、製造業以外の分野では、意外にも、このことが、常識化されてきませんでした。営業にしても、研究開発職にしても、事務職にしても、その他のあらゆる間接部門において、これは自明の理であるにも関わらず、そのことに特化した経営手法は、意外にも、開発されてこなかったのです。たとえば、

 

・研究開発職では、他社が1年かかってやるところを、半年でやれば、これは、もう、勝 

 つに決まってるわけ  です。

・販売促進企画ということでいいましても、マーケットの変化に対して、いかにそのマ

 ーケットに適した販売方法を考え開発し商品を提供していくか。こういうことがスピ

 ーディにできるかできないかが、企業の販売力を決定してしまうといっても、これは

 過言ではありません。

・もっといえば、人材育成スピードの速い会社と遅い会社では、人材育成スピードの遅

 い会社は、絶対に勝てないのです。

 

だから、どこからどう考えてみても、企業経営の問題は、スピードだということは明らかです。ところが、このマネジメントスピードを高めるということに、われわれは、力を注いできませんでした。

 

戦略的思考とか、管理的思考とか、あるいは、QC的思考とか、色々やってきました。ところがマネジメントスピードを高めるということは、意外にも、考えられてこなかったわけです。

 

当社も、最近になってマネジメントスピードの向上ということに取り組み始めました。そして、これをセールスに適用したところ、案の定、着実に成果があがってきております。それは、この半年間で売上が1.5倍になるとか、あるいは2倍になるという事例が、実際に、出てきているわけです。

 

そこで、本稿では、そういうお話を書かせていただきたいと考えています。お話と申しましても、その事例のお話をしても仕方がありません。事例のお話もいたしますけれども、事例ではなく、その根本的なところをご理解いただきたいと考えています。
 

 

2.セールスマンの販売力が強化できるか

まず、最初に、皆さんは、セールスマンをキチンと教育することによって、「売上を倍増させることができると」考えになっておられるでしょうか。

 

私は、正直いって、そんなことは出来るはずがないと考えておりました。そんなことをやってたら大変な時間がかかる。ものすごい手間がかかる。そんなことは、セールスマンの質を確かめてから出ないと、とてもやれるもんじゃない。有象無象のセールスマンを教育して何とかなるなんて、全然、考えていませんでした。

 

セールスマンを地道にトレーニングしていってできることは、1年かかたって、せいぜい5%とか10%とかの売上増加にすぎないと、ハナっから決め付けておりました。

 

ところが、そうではないということがわかってきたわけです。それは、私どものお客様の中で、半年間で売上が1.5倍になるとか、あるいは2倍になるという事例が出てきて、そういうふうに確信することができたわけです。

 

実は、お客様だけが、そうではなくて、私自身がそうでした。私は、コンサルタントやる以前の仕事は、学者(文部教官)でありました。学者が商売やって成功するわけがない。といって、コンサルタントをやるといったとき、「止めろ。やめろ」とアチコチからいわれたのです。

 

いまから、5年前、この仕事を始めたとき、私の月の売上は30万円でした。毎月800件、飛び込み訪問しました。800件飛び込み訪問すると1件受注できるということがわかったからです。

 

1件から30万円とか50万円の受注がいただけるわけです。朝5時におきて6時に家を出ます。それから、夜の20時まで走り回っていたのです。

 

20時に帰ってきて、それから食事したり、風呂に入ったりして、その後、提案書いたり、見積書書いたり、これが2時ごろまでかかりました。次の日も、朝になったら朝5時におきて6時に家を出かけるわけです。これをやって、月に30万円の受注をいただくのがやっとでした。

 

そうしているうちに、この最初の年の年末に2件で600万円の受注を頂きました。中期経営計画と人事評価制度の策定コンサルティングを頂いたのです。そのため、次の年は、この仕事に終われて全く営業できませんでした。

 

しかし、その次の年には、1ヶ月で2,400万円受注できました、そして、その翌年には、1ヶ月で7,500万円受注を頂いたのです。その私がやってきた方法を、お客様に紹介したところ、半年間で、売上が1.5倍なるとか、2倍になるという事例が現れてきたのです。

 

したがって、その方法をご説明させていただきたいと思っておりますが、いまから、ここで説明する内容で、セールスマンをキチンと教育されるならば、どんなに悪くとも、半年間で、売上を3割から5割あげることは十分に可能なんだということをわかっていただきたいのです。

 

「それは、ウチの会社のようなマーケットでは無理ですよ」なんてことは全然ありません。セールスマンが変わると、マーケットを変えることができます。そういうお話をさせていただきたいと思っております。

 

したがって、多少、細かい、面倒なお話をいたします。本来はセールスの現場にいらっしゃる方々がお聞きになる話かもしれません。けれども、その根本のところを、経営者や管理者の皆様に、お聞きいただいて、ご理解いただくことが、重要ではないかと考えております。

 

最初に、考えていただきたいことは、「自社の販売力が強化できるか」ということであります。皆様は、自社の販売力が強化できるとお考えになっていらっしゃるでしょうか?

 

まず、それは十分に可能である。セールスマン一人当たりの売上を倍増させることは、何か特別なことをしなくっても、セールスマンの活動スタイルを変えさせることができるならば、可能なんだということを、まず、最初に信じていただきたいのです。

 

3.セールスマンのセールス能力は実は50%も発揮されていない

セールスマンのセールス能力は実は50%も発揮されておりません。だとするならば、これを100%発揮させることができるならば売上は倍増するわけです。

 

セールスマンの現状と課題

 

     ①活動時間の20%しか商談していないセールスマン

     ②セールスステップも意識せずに活動しているセールスマン

     ③昨年と同じセールスツールとセールストークで活動しているセールスマン

     ④新しい顧客、新しいマーケットの開拓に取り組ませていない会社の体質

     ⑤セールスマンの生産性向上ための指導方法を持たないセールスマネージャー

 

したがって、セールスマンの能力は実は50%も発揮されていないのです。もし、商談の時間を20%から40%に増やすことができるならば、これだけで様相は一変します。

 

このような考え方でセールスマンの活動を見ていくと、セールスマンのセールス活動の生産性を倍増させることは十分に可能だということに気がつくわけあります。その場合のテーマは何かというと、

 

        ①販売力の30~50%程度の向上は確実に実現できる

        ②販売力増強の鍵はセールス活動のスピードアップにある

 

ということがいえます。ここに、セールス活動のスピードアップとは、

                                                            

        一定期間内に実践できる営業活動(タスク)の量の向上  

                                                            

を指します。このことを意識して、セールス活動のスピードアップという点にポイントをおいてセールスマンの活動を分析してみたいと思います。

 

ここで、とくに申し上げておきたいことは、⑤「セールスマンの生産性向上のための指導方法をもたないセールスマネージャー」についてです。①~④も重要なのですが、長くなりますので割愛させていただきます。

 

セールスマンの生産性を向上させるような、具体的な指導方法を、セールスマネージャーがもっておられれば、生産性は改善されるのですが、いかがでしょうか? 皆さんの会社の営業部長さんや営業課長さんは、そういう方法をお持ちになっていらっしゃるでしょうか?

 

セールスマンの生産性を上げるということは、一体、どういうことなんでしょうか? セールスマンの生産性が月に3%あがったら、これはすごいことです。これを12ヶ月間積み上げていけば、1年たつと36%生産性が上がります。

 

セールスマンの生産性が月に3%上がるように、セールスマネージャーは、セールスマンを管理していらっしゃるでしょうか? 今月から来月にかけて、セールスマンの生産性が3%上がるように、管理していらっしゃるでしょうか?

 

たとえば、セールスマンの先月の売上が1000万円だったとします。今月1200万円になったとします。それで生産性が20%あがったといえるでしょうか? いえません。もちろん、いえません。

 

それは、たまたま、売上が上がっただけかもしれません。来月は800万円に落ちるかもしれません。ということは、セールスマンの生産性が上ったかどうか管理できておりません。生産性が上がるようにチェックできておりません。

 

工場ではどうでしょうか? 工場では管理しております。月に生産性が3%あがったら、文句無く把握できます。

工場では、そういう努力を毎月毎月積み重ねて、何年か経ったときに、従来の半分の価格でモノがつくれるようになったのです。

 

ところがセールスマネージャーは、そのような生産性の管理をやっておりません。

生産性の管理をやる方法を知りません。その技術をもっておりません。

まして、どのようにすればセールスマンの生産性があがるのか、教える手立てを持っておりません。

 

したがって、セールスマンの能力は、実は50%も発揮されていないのであります。したがって、セールスマンの商談時間を30%から40%に増やすことができれば、これだけで様相は一変します。

 

こういう考えでセールスマンの活動内容を見ていけば、セールスマンの活動の生産性を倍増させることは十分に可能なんだということに気がつくわけであります。

 

その場合のテーマは何かと申しますと、

 

  ①セールスマンの生産性の30%増・50%増は確実に実現できる

  ②セールス増強のカギはセールスのスピードアップにある。

 

こういうことがいえますが、このことを意識して、セールス活動のスピードアップにポイントをおいた話をしていきたいわけであります。

 

4.セールスのスピード

セールスマンの生産性の話をする前に、セールスのスピードというものについてお考え頂きたいわけであります。セールスのスピードアップとは、一体、どういうことなんでしょうか? いま、仮に、

 ・月に10台車を売るセールスマン

 ・月に5台しか車を売れないセールスマン

 

がいたとします。この10台売るセールスマンは立派なセールスマンで、5台しか売らないセールスマンはダメセールスマンといってしまえるのでしょうか? どこが違うのでしょうか?

 

この5台しか売らない人は2ヶ月待ってやれば、10台売ることができます。ダメセールスマンでもなんでもありません。売るスピードが半分なだけなのです。

 

したがいまして売るスピードを倍増させることができるならば、優秀なセールスマンに変わるわけです。じゃあ、その場合、何をすればいいかを考えてみようというのが本稿のテーマになります。

 

5.セールススピード向上の方法

そこで、次の①~④をご覧頂きたいと思います。そのスピードアップするためにやること、を書いております。

 

一定期間内に実践できる営業活動(タスク)の量の向上させる方法。セールスマンの生産性を確実に向上させる方法は次の4つです。この4つのことをやりさえすればセールスの生産性は必ず上がります。なぜなら、われわれがやってきたからです。

 

①「スケジューリング技術」の習得

スケジューリング技術というのは、一定期間内に、たとえば、1ヶ月なら1ヶ月という期間内に、できるだけ多くの時間をセールス活動に使うようにする技術を「スケジューリングの技術」といいます。

 

われわれは、本当の営業活動ではない活動に多くの時間をとられています。たとえば、移動であったり、日報であったり、営業会議であったり、そういう営業活動ではないことに多くの時間をとられています。

 

これらは止めてしまうわけにはいきません。止めてしまうわけにはいきませんが、これらの時間をできるだけ短縮して、本当に意味のある営業活動に時間を投入するかという技術を「スケジューリングの技術」と申します。

 

われわれには、時間の制約というものがあります。たとえば、1ヶ月なら1ヶ月という時間の制約があるのです。1ヶ月を30日とし、週休2日とするならば、労働日は22日になります。そうすると、1日8時間、1ヶ月22日、8時間×22日=176時間という時間の制約があります。

 

それで、176時間という時間の制約の中で、いかにたくさんの仕事をするかということを考えていかねばなりません。残業なんかすることを考えたらダメです。土曜や日曜に働くことを考えたらダメです。そういうことを考えている会社は根本的に将来がありません。なぜなら、生産性が上りませんから。

 

一生懸命がんばって売上を上げるというのはダメなのです。そうではなくて、一定の期間内に売上を上げる。そういうスタイルに会社全体を変えていかなければ、会社の生産性は上りません。

 

トップ経営陣が、「がんばってくれてる」「遅くまで頑張ってくれてる」「偉いやっちゃ。頑張ってくれてる」と経営陣が考えていたら、その会社はダメです。

 

やり方の工夫をしていかない限り、一生懸命頑張ったって勝てないんです。時間をいかにうまく使うか、やり方の工夫。

 

1日8時間×22日=176時間の中で、この時間制約の中で、有効な営業時間のシェアを高めるか。無駄な時間を削減していくか。この発想が大切です。これをやるためには「スケジューリングの技術」が必要になります。

 

②「セールスステップ」の鮮明化と改善活動

セールスという仕事は、一体全体、何と何と何をやれば最終的なゴール、受注に辿り着けるのでしょうか? これをセールスステップという形でキチンと整理していらっしゃるでしょうか?

 

このセールスステップというのは、一つではありません。あちらの会社ではああいうセールスステップ。こちらの会社では、こういうセールスステップというように、会社ごとに業種ごとに違います。また一つの会社の中でもセールスマンごとに異なっております。

 

一つの会社の中で、優秀なセールスマンとそうでないセールスマンのセールスステップを比べて見ますと、優秀なセールスマンのセールスステップの方が遥かに速く最終的なゴール、受注に辿り着けるようになっています。要するにセールスステップが違うんです。

 

だから、受注というゴールに出来るだけ早い期間に辿り着くようなセールスステップをわれわれは設計しなければならない。

 

そういうセールスステップを鮮明にすること、そして、そのセールスステップを意識して、改善活動をやること、これが2番目のテーマになります。

 

このセールスステップというのは売込方、その手順を指すわけですけれども、同じ初回訪問をやるにしても、飛込訪問の方がいいのか、テレフォンマーケティングをやって訪問するのがいいのか、どちらがいいのか一概にいえません。

 

たとえば、飛び込んだって相手にしてくれないからというので、ターゲットリストを買ってきて、そこにテレフォンマーケティングやって、それから訪問した会社がございましたが、1週間経ってもまともなアポは1件もとれませんでした。

 

どうしようも無いので、「飛び込め。飛び込め」といって、飛び込み訪問をやらせたわけです。セールスマン4人に2.5日、延べ10日間の飛び込み訪問をやらせた。そうしたら、なんと90件中5もの有望な見込客が見つかったことがあります。

 

普通は、飛び込んだってだめだから、そこに電話をかけてアポをとって訪問しようと考えるんですが、電話すると、そもそもつながらないんです。「あっ。売り込みだ」と思われて、シャットアウトされてしまって、受付が突破できません。

 

ところが、飛び込みでいきますと、「帰れ!帰れ!」とはいえませんよね。だから、飛び込みでいけば、「あのう。すみません」といって、そこにいた人に話ができる。しかも、商品については魅力的な商品だったし、具体的なパンフレットもあったので、話を聞いてもらえるわけです。

 

そうすると、最初に考えていた、受付→課長→部長→社長という下から上へと上がっていくセールスステップもあれば、テレフォンマーケティングは止め、最初から飛び込み。そして、飛び込んだら、そこで、部長にあえるかもしれません。そこで掃除している人が、社長かもしれません。

 

そうしたら、最初の難しいところをいっぺんに飛び越えて、一挙に部長のところにいけるわけです。

 

このように、人によって売り方が違います。その中で最も効果的なセールスステップを見つけ出さねばなりません。新しいセールスステップを探し出すということに、セールスマン全員が努力してやっているか。やっておりません。今年も、去年と同じような方法でやっております。

 

③セールスツールの開発と改善

一方、新しいことを考えることがうまい人がいます。そして、そういう人は、「新しいやり方を考えつくたびに自分の生産性が上がっていく」という人がいます。まさにこれです。

 

そこで、そういうことをやろうと思うのですが、その方法として、セールスステップが決まったら、このセールスステップを上がっていくための、道具、ツールを開発しなければなりません。

 

たとえば、お客様のところへいって、ニーズを聞くのがヘタな人には、調査表というのを作ります。チェックリストです。

 

お客様を訪問してきて、ニーズを聞いてきて、提案書を書こうとした。ところが、提案書が書けない。聞き漏れがあるわけです。

 

そこで、電話する。あるいは、もう1回訪問してニーズを確認してくる、というようなことをやればいいんですけど、ほとんどのセールスマンは、そのままにしてしまいます。だから、そういう人達に対しては、チェックリストを作ってやるわけです。これが3番目に書いているセールスツールの開発と改善です。

 

④セールスツールのトレーニング

それから、そういうツールが出来ましても、それらのツールが使いこなせなければ何にもなりません。そこで、そういうツールを使いこなすためのトレーニング、セールス能力向上のトレーニング、これが4番目のテーマになります。

 

この4つを徹底的にやっていけば、セールスマンの生産性はあがるのですが、なぜ上がるのかという原理をここで、ご紹介させていただきたいと思います。

 

このプロセスを数値例で表すと次のように、月3軒だった受注軒数を月6軒にすることが出来ます。

SPセミナー数値例.png

もし、20%上げることができなければ、10%でも結構です。10%上ることができれば、1.1の4乗で1.57、約1.5倍になります。さらに、4つ改善することができなければ3つでも結構です。3つ改善できれば1.1の3乗で1.33、約1.3倍になります。

 

 要は、営業生産性を高めるためには、やはり個々の活動を丁寧に管理していかねばならないということです。

 

ところが、われわれは、そういうふうに考えない。細かいところをたくさん回るよりも、大きなところが、1個、ボコッと決まってしまえば、それで、大きな受注が決まるじゃないか。こういうふうな雑な発想をしてしまうのです。

 

工場と同じような発想はとりません。工場というところは、誤魔化しが効きませんから、いままで1日に100個つくっていたものを、いかにして103個にするか、105個にするか。そういう努力を地道に積み重ねて、何年か経ったときに、凄い生産性の改善をやってきたわけです。

 

このことに真剣になって取り組もうじゃないか。ということをセールスマンに合意させて、そして、自分の売上が半年経ったときに、3割上がることを楽しみとして、セールスマンが活動し始めますと、これはもう様相が一変いたします。

 

じゃあ、そのためにどうするか? それをプログラム化したものが、本稿で、ご説明している「セールスパワー倍増プログラム」なのであります。

 

6.セールスステップの鮮明化と改善活動

そのために、まず、やらなければならないこと、これが、セールスステップの鮮明化です。下記のセールスステップをご覧頂きたいと思います。

セールスステップ例1.png

ここに書いてあるのが標準的なセールスステップです。まず、「見込客を見つける」と書いてあります。売れないお客のところで一生懸命売り込むほど馬鹿なことはありません。そんなところは出来るだけ速くやめなければなりません。だから、いかに速く見込客を発見するか。これがやらなければならない第1番目のことであります。

 

2番目は、「見込客に会う」。これは簡単ではありません。社長に会わなければ商売にならない話の場合、受付を突破し、担当者を突破し、課長を突破し、部長を突破し、社長に辿り着くのに、ものすごく時間のかかる人と、実に手際よく社長に会う人がいます。

 

それから、3番目。「ニーズを把握する」。社長に会えたって、社長が何を期待しているのか? 何が好みであるのか? これを聞き出さなければ何にもなりません。折角、社長に会えたのに何も聞き出さずに帰ってくるセールスマンが沢山います。

 

4番目。ニーズに合った提案をします。ニーズがわかったならば、できるだけ早い時期に効果的な提案をしなければなりません。この提案書を書くスピードが早い人と遅い人がおります。

 

5番目。「購買阻害要因を見つけて排除する」。売れない理由はいくつもあります。予算がないのかもしれません。ひょっとしたら社長はOKしてるんだけども、役員の誰かが反対しているのかもしれません。

 

いずれにしろ、何等かの購買阻害要因がありそうなときには、これをいち早く見つけ出し、解除する方法を考えなければなりません。これを見つけ出しもせず、予算がないにも関わらず、一生懸命に売り込んでいるのも馬鹿な話です。時間の無駄です。

 

したがって、購買阻害要因を確実に見つけ出し、排除し、それから、購買意思決定をせまり、意思決定していただき、最後に、代金を回収する。

 

これがセールス活動であります。このセールス活動の「各ステップをいかに確実にスピーディにやるか」ということを考えていかねばなりません。

 

営業活動をスピーディにやるとはどういうことか? それは1回の訪問で出来るだけたくさんの仕事をこなすことです。

 

われわれは、見込客を見つけるために莫大な時間を費やしております。したがって、この時間を短縮することが最初にやらなければならないことです。

 

見込客が見つかったならば訪問いたします。訪問したときにニーズを聞き出すだけではなく、そこで提案もし、購買阻害要因を聞き出し、購買阻害要因を解除するための提案を行なってくると、1回の訪問で3つも、4つもタスク(仕事)がこなせます。

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ところが、これを1回ずつ、見込客を見つけにいく。ニーズを聞き出しにいく。提案しに行く。購買阻害要因を聞き出しに行く。購買阻害要因を解除しに行く。とやっていたら、生産性は、全然、上がりません。

 

この仕事を訪問活動といいます。ところが、訪問は仕事ではない。訪問してきて何をしてくるのかが仕事なのです。

 

お客様のニーズを発見した。これは1つの仕事です。お客様に提案をしてきた。これも1つの仕事です。お客様の購買阻害要因を発見した。これも1つの仕事であります。

 

このようにモノを売るためには、やらなければならない仕事がたくさんあります。そのたくさんのステップをぜんぶこなしたら、わが社の商品は自然に売れていく。

 

そうですよね。お客様のニーズがはっきりつかめて、そのニーズに対して効果的な提案ができて、それが受け入れられない理由を探してやって、それを解除してやって、予算がついたとなったら、これは売れるわけです。

 

だから、いかに上手く売るかではなく、モノ売るためには、やらなければならない仕事がたくさんあって、そのたくさんの仕事を全部やれば、わが社の商品は自然と売れていく。

 

だから、そのやらなければならないたくさんの仕事を目の前に鮮明に描いてみせて、その各ステップをいかに確実にスピーディにこなすかということを考えると、セールスマンの生産性はあがるんです。

 

これをトップがキチンと認識すると、わが社のセールスマンは、どれだけの仕事をすれば成果があがるのかがはっきりするはずです。そうすると、セールスマンの生産性が把握できます。このセールスマンは、これだけの仕事をするのに、どれだけの時間がかかるのかということが把握できるようになります。

 

ところが、そのタスクがはっきりしていないから、どれだけのタスクをこなせば成果が出るのかがはっきりしていないから、何でかしらないけれども能率よく売り上げてくる人と、いくら時間をかけても売上があがらない人がいる。こういう感じになってしまうのです。

 

7.スケジューリング と リ・スケジューリング技術の修得

そこで、そういった改善をやる2番目のテーマ、これがスケジューリング技術の習得です。

 

皆さん、会社のセールスマンのスケジュールノートを見てあげてください。向こう1ヶ月について、訪問の日程がビッシリ埋まっていればOKです。埋まっていなければダメ。「全然、モノ考えて動いてないじゃないか」といって、その場で叱ります。実は、私も、最初は、こればっかりやってまいりました。

 

セールスマンにあったら、「ちょっとノート見せてごらん」といって、ノートを見て、いくつか質問するわけです。「うん。3週間先の火曜日? A社? これ何しにいくの? 誰に会って、どんな話をするの? そのために、どんな準備をしていくの? こういうことをセールスマンに聞くわけです。

 

それで、そういうことがキチンと考えてあればOKです。考えていなければダメ。つまり、日程が向こう1ヶ月間ビシーっと詰まっていて、個々の訪問活動の内容が、キチンと考えてあればOK。考えてなければダメ。こういう風にチェックするわけです。

 

というのは、普通程度に優秀なセールスマンですと、今週、つまり第1週は8割方埋まっております。この今週中のスケジュールが埋まってないのは、優秀でないといわざるを得ませんが、優秀なセールスマンですと、大体、8割方埋まっております。

 

来週になりますと、第2週目になりますと、大体5割方埋まっております。それから、3週目になりますと、3割から4割埋まっております。4週間目になりますと、パラパラパラであります。何か特別なお客様に会うとか、営業会議ですとか、そんなものしか入っておりません。

 

これじゃダメですね。これじゃ、全然、生産性はあがりません。こういう状況で、「今月の売上目標は大丈夫か?」と聞かれて、「はい。大丈夫です。任せといて下さい」なんていってるセールスマンは、全く、アテになりません。こんな状況で今月の売上目標が達成できるはずがありません。

 

なぜならば、ある程度、優秀なセールスマンになりますと、「大丈夫です」という理由があるんです。その理由は何かというと、今月は、あのお客様から、カクカクという理由で、この商品をこれだけ。こっちのお客様から、シカジカという理由で、この商品をこれだけ。そういう商品市場マトリックスが頭の中にあるわけです。

 

それでもって、「今月の私の売上目標は大丈夫だ。達成できる」というふうに考えているわけです。つまり売上の目途を立てているんです。その目途を立てていないのがダメなセールスマンなんです。

 

ところが、この優秀なセールスマンも、その頭の中の目途が、頭の中に描いただけである。「絵に描いた餅である」ということが、実は、キチンと認識できておりません。

 

なぜかと申しますと、たとえば、クレーム等のトラブルが発生するからです。クレームが発生すると、いままで考えてもいなかった仕事がバーっと増えます。その仕事の処理を計画して、いまのスケジュールの上に乗せます。乗っけると出来なくなる仕事が発生しますので、それらの仕事に調整を加えます。

こうやって、初期のスケジュールを「リ・スケジュール」するわけです。ところが「リ・スケジュール」するためには、初期のスケジュールがなければできません(※リ・スケジュールがわかりにくいという方は、株式会社 湊屋総研までお問い合わせください)。

 

ここにスケジュールの重要性があります。よく営業会議で「今月はクレームがありまして、目標が達成できませんでした」という言い訳をききます。

 

しかし、それは単なる言い訳に過ぎません。当初の売上計画も、クレーム処理も同時に達成しなければ、営業という仕事は成り立たないのです。

 

以上をまとめますと、つぎのようになります。

 

    ①セールスノートのチェック

       ・顧客ごとに営業案件が明確にされており

       ・かつ、注文を取るための活動内容が明確になっており

       ・さらに、自分のセールス活動の時間割が出来上がっている

    ・このときに、今月の売上を達成するメドを立てているといえる

 

    ②リ・スケジューリング(クレーム対応等)

    ・クレームが発生したら、クレーム対応をスケジュールする

         ・このクレーム対応のスケジュールを月間のスケジュールに乗せる

    ・そこで、リ・スケジューリングを行い、全ての業務をこなすようにする

    ・最大で35%ぐらいの仕事は、残業しなくても、リ・スケジューリングによっ

    てこなせる

 

    ③リ・スケジューリング(取りこぼしを拾う)

    ・辞去前に、顧客の予定について質問し、顧客の予定を把握する

            ・もし、営業活動に支障が見出せたときは、その場でリスケジューリングする

           ・これによって、取りこぼしを拾うことが出来る

 

    ④スケジューリングとは自分とアポをとること

       ・スケジューリングとは、意思の表明である

 

 

8.セールス生産性を向上させるプログラム

これがセールスステップの改善活動です。セールスステップを改善する技術というものを学ぶ必要があります。そうしておいて、毎月毎月仕事を見直し、どうすれば来月は今月の1.25倍の仕事がこなせるようになるかということを考えると、生産性が上がり始めるわけです。

 

ところが、いままで訪問件数ばっかりいってきたんです。もう20年前から訪問件数ばっかりいってるんです。ところが、訪問件数なんか意味ないんですよ。訪問して何をしてくるかが重要なんです。

 

ただし、有効訪問ならば目標にできます。そうすると有効訪問とは何かという定義が出てきて、その有効訪問を増やすと売上は増える。

 

先ほどからご説明しているように、われわれの仕事の仕方を3%改善することができると、これを1年間つづけると36%生産性が上がります。ところが、セールスマンについて生産性が3%あがったと、改善できたと判定できるかというと、残念ながら、できません。出来る状態にありません。

 

これはなぜかというと、それは要するに、販売活動について科学しようとする姿勢がなかったからです。科学とは何か。自然科学とは何か。これは、世の中の動きの中から法則性を見つけ出すことです。

 

世の中の現象を観察して法則を見つけ出すわけですが、これはまだ法則とはいいません。仮説といいます。

 

仮説が出てきたならば、それが正しいかどうか、検証します。検証の結果、「うん、間違いない」となったとき「法則」になるわけです。もし、間違っていたら、仮設に戻って、検証し、「間違いない」となったとき「法則」になるわけです。

 

そして、法則が見つかったならば、法則どおりにやれば、成果は出るに決まっています。

 

これが科学する姿勢だと教えられてきたわけですけれども、これまで、セールスについて科学的にアプローチする姿勢が無かったのです。この法則性を鮮明にしたものが、私どものセールスパワー倍増プログラムなのであります。

 

だから、本稿で、とんでもない、突拍子もない話を聞かされたとはお感じにならないだろうと思います。本稿で説明したことは当たり前の話です。何か特別なことがあったかというと、そうではありません。しかし、これをセールスマンの生産性を向上させるという目的で真剣に取り組んできたかというと、これは殆どの企業がそうではなかったと思います。

 

これに真剣に取り組むと確実に生産性が上がり始める。そして、半年経ったら、生産性が少なくとも3割から5割上がり始めるわけであります。

 

これはマーケットが同じで、商品が同じで、売上が上がるわけですから、物凄いことになります。これが、われわれが、われわれの活動あるいはお客様の活動を通じてやってきたことなのです。

 

本稿に記したことは、少し面倒だとお感じになるかもしれません。しかし、説明の内容はシンプルですから、ご理解いただけると思います。

 

もし、ご理解いただいて、確かに、そういう風にやったら、売上が3割から5割上がるかもしれないなと思われたならば、3割や5割じゃありません。本当は2倍になるわけです。そういう風にお感じになった方がありましたならば、あとは、徹底的に実践していただきたいと思います。

 

その場合の第1のステップは何かというと、セールスのデータをとるということです。これが面倒なのです。まず会社の人たちは、セールスマンの活動の邪魔をしてはいけないと思って、日報を出せとか何とかいうのを遠慮するんです。

 

一方、セールスマンはどうかといいますと、自分が今日お客様のところで何を話してきたか、喫茶店でお茶を飲んでたことまでわかってしまうような管理は嫌でありますから、ここにまず大きな抵抗があります。この抵抗をクリアしなければなりません。

 

クリアするためにはプログラムが必要になります。セールスマンの皆さんが、喜んで自分の活動内容オープンにして、自分の営業活動の中身を真剣に考えるようになるシステムでなければなりません。

 

これから半年だったら自分の売上が30%上がる50%上がることを楽しみにして取り組めるようなものでなければなりません。

 

当社はそういう研修に取り組んできました。皆様の会社も不況の中で大変であろうと思いますが、是非、セールスマンの活動を改革されて、マネジメントスピードの向上を通じて、売上倍増を実現させていただきたいと切に願う次第です。

※文章があまり長くなりましたので、半分ほどのノウハウしか、ご紹介できませんでした。当社には、もっと、もっと、使えるノウハウがありますので、セールスによる売り上げアップに、ご関心をお持ちの方は、当社まで、右端にございます「問い合わせフォーム」からお問い合わせ賜れば幸いでございます。

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